Cross Talk 05
やってみたら?から始まる、 ものづくりの面白さ。
テーマ:遊び心
Member

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Y.K.
先端プロセス技術センター
(DMP)製造部 生産技術課
生産技術係2018年入社

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S.M.
本社
営業本部 東日本エリア
営業一課 二係2022年入社

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R.O.
御前崎製作所
第一製造部 生産技術課
生産技術係2024年入社
Introduction
木村鋳造所で働く3名の社員に集まっていただき、「遊び心のある風土」をテーマに語ってもらいました。先端プロセス技術センター(DMP)で生産技術を担当するY.K.さん、御前崎製作所で品質改善に取り組むR.O.さん、そして中途入社で営業を担当するS.M.さん。それぞれ異なる部署で働く3人が、日々の仕事の中で感じている木村鋳造所の風土や、自由に発想を形にできる職場の魅力について語ります。
topic 01
世界最長の
ミニ四駆コースから、
たい焼きの型まで。
まずは皆さんの入社のきっかけから
教えてください。
- Y.K.
(DMP) - 僕は車が好きだったので将来は自動車関係の仕事がしたいと思っていました。就職活動の時にリクナビで木村鋳造所を見つけて。決め手は山梨の実家から近いことと、趣味の釣りやアウトドアができる環境だったことですね。鋳造は全く知らない分野でしたが、自動車部品の試作に関われることに魅力を感じました。
- R.O.
(生産技術) - 就職活動の際に、工場見学に来たことです。製品規模と工場設備の大きさに圧倒されました。化学系の出身だったので、工場といえばきっちり管理するイメージがありました。でも、御前崎は全然違っていて、大物製品をつくるための設備のスケールの大きさや製法に興味をそそられました。
- S.M.
(営業) - 私は中途入社で、前職は証券会社で営業をしていました。正直に言うと、家から近かったのが一番大きかったんですけど(笑)。企業理念に「鋳造の革命児となり」とあって、挑戦的な姿勢を掲げているのがいいなと思いました。前の会社は決められたことをやるのが基本だったので、個人の裁量が大きそうなところに惹かれましたね。
入社後、木村鋳造所らしい「遊び心」を
感じた取り組みはありますか?
- Y.K.
(DMP) - 2019年に会社で世界記録に挑戦したことですね。発泡スチロールの加工技術を活かして、世界最長のミニ四駆コースを作ったんです。僕は当時2年目で、隣の工場から見ていただけなんですけど、最初は「そんなの盛り上がらないんじゃないか」って思ってたんですよ。でも実際に完走した時は本当にすごかった。鋳造しか見ていなかった自分にとって、全然違う目線で新しいことができるんだって知れたのが面白かったです。
- R.O.
(生産技術) - 私が印象に残っているのは、社内の納涼祭でのキーホルダー作りです。同じ係の先輩が企画したんですけど、融点の低いホワイトメタルという金属を使って来場者が自分でキーホルダーを作れるコーナーを設けたんです。デザインも可愛いんですが、型を量産しやすくするために3ステップで綺麗に型が抜けるように設計されていて。作り方の面からも効率的に生産できる工夫があって、工場的な視点が活きているのが面白いなって思いました。
- S.M.
(営業) - 僕が関わったのは、たい焼きや人形焼の主型を作るプロジェクトです。食品業界って鋳鉄をあまり使わないんですよ。でもたい焼きや人形焼はアルミでできていて、しかも試作段階では木型を使うから時間がかかる。それを3Dプリンターを使えば4週間程度でできるんじゃないかと思って、食品メーカーや機械メーカーにアプローチしたんです。結果的に受注できて、今も取引は続いています。皆さんが食べているたい焼き、もしかしたら木村鋳造所の型で焼かれているかもしれないですよ。
topic 02
「やってみたら?」が
生まれる土壌
そうした遊び心のある取り組みは、
どうやって生まれるんでしょうか。
- Y.K.
(DMP) - 先端プロセス技術センターは短納期で次々と違う製品が来るので、新しいことに挑戦しやすい環境だと思います。最近はインターンシップで来た学生に、好きなデザインを実際の鋳物にする体験を指導する機会もありました。美大の学生が富士山をイメージして、逆さにしたら富士山に見える皿を作ったり。通常業務ではお客様から依頼された製品を作ることが多いので、1からデザインして形にしていくのは新鮮でしたね。
- R.O.
(生産技術) - 普段のコミュニケーションの良さが大きいと思います。趣味を共有したり、周囲と気軽に話せる雰囲気があるんです。そういう日常の会話の中から「こういうの作ってみたら面白いんじゃない?」っていうアイデアが生まれる気がします。
- S.M.
(営業) - 僕が思うのは、やらざるを得なかった歴史も一側面としてあるんじゃないかってことです。日本の鋳物技術は海外に流れていって、従来のやり方だけでは経営的に厳しい。だから先代の人たちが革新的なことをやり続けてきた。それが結果として遊び心につながっているのかなと。あと、提案しても「ダメだよ」って言われることがほとんどないんですよ。隣の人と話してわからなかったら、みんなでワイワイやって解決する。そういう文化があります。
- Y.K.
(DMP) - 僕の部署ではゴルフマーカーを作って販売してみようって話もありましたね。センター長がゴルフをやるので、記念品として作ってみようかって。お客様から依頼を受けて作るのが基本だったのが、自分たちでデザインを考えて売るという新しい挑戦でした。釣具を作ってみんなで釣りに行ったこともあります。本社には自分と同じ趣味の人が多くて、船の免許を持っている人もいたり。
- R.O.
(生産技術) - よく「やってみたら?」って言われます。品質改善でテストをしたりすることがあるんですけど、条件で悩んでいると「やってみたらいいんじゃない?」と声をかけていただくことが多いですね。失敗も含めて実際にやってみることで、納得して次に進める実感があります。もちろん製造現場なので慎重さも必要ですが、そういう挑戦できる余裕が“遊び心”につながっていると思います。
topic 03
挑戦を支える、
チームの力。
みなさんは挑戦の中でどんな困難があり、
それをどう乗り越えてきましたか?
- Y.K.
(DMP) - 先端プロセス技術センターは納期が最短で約10日なので、迅速に高品質な鋳物を作る必要があります。でも複雑な形状で材質も様々なので、ミスや失敗をすることもあるんです。S.M.さんとたい焼きの主型を作った時も、1メートル近い長さがあって、アルミという材質もあって変形したり不具合が出やすかったんです。そういう時は一人で悩むんじゃなくて、チーム全体で話し合って解決しています。以前やった時はこうだったから、今回はこう試してみようかって。失敗を経験に変えて挑戦し続けるのが、うちのチームのスタイルですね。
- R.O.
(生産技術) - 私はCPPJというプロジェクトで、鋳肌評価を改善する課題に取り組んでいます。資料の見せ方に苦労しました。発表用には華やかでインパクトのある資料が必要ですし、現場の方には分かりやすさ重視の資料が必要で。自分だけでは判断できないので、上司や先輩にアドバイスをもらいながら進めました。現場の方と定期的に情報共有の場を設けて、そこで出た意見を取り入れながらテストを進めていくんです。意見交換から生まれる小さな工夫が、大きな改善につながることを実感しました。
- S.M.
(営業) - 僕が挑戦したのは、木村鋳造所の商材を提案するだけでなく、協力メーカーと連携して製品化まで一貫対応できる体制を作ることでした。従来は鋳物を作って穴開けや面を引いて出荷するのが基本だったんですが、お客様からボロボロになった部品を預かってリバースエンジニアリングで復元し、鋳物を作って、さらに部品を組み付けて最終製品として納品するといった案件も受けるようになったんです。ただ、自社だけでは対応できない加工もあるので、協力メーカーとの連携が不可欠でした。60代、70代の職人気質の方が一人でやっているような会社もあって、文化のすり合わせが大変だったんです。管理面が緩くて、納期に間に合わないという連絡が前日に来たこともありました。でも定期的に打ち合わせを重ねて、双方の強みを活かせる形に落とし込むことで、徐々に信頼関係を築けました。お客様にとっても、何社とも付き合わなくても木村鋳造所だけでやり取りすれば済むようになって、手間が減ったと喜んでもらえています。
- Y.K.
(DMP) - どんな部署にいてもコミュニケーションを取ってチームで話し合って解決するのは、共通の乗り越え方かもしれないですね。