フルモールド鋳造法

発泡スチロール模型が溶湯に置換され、製品となる鋳造法です。

フルモールド鋳造法の特徴

  1. 木型の鋳造法に比べ立ち上げ納期が早い
  2. 発泡スチロール模型を加工するNC機を多数所有しているので垂直立ち上げが可能
  3. 木型と違い倉庫代、メンテナンス代が不要
  4. 発泡スチロール模型の段階で製品形状の確認ができる
  5. 設計変更が木型に比べ容易である
製造可能な製品サイズ
全長:8,200mm
実績最大:44トン
生産実績
78,000トン / 年
短納期、形状変更、垂直立ち上げを実現するフルモールド鋳造法
3Dデータを保管すればいつでも鋳物が作れるフルモールド鋳造法

フルモールド鋳造法と木型法の差

フルモールド鋳造法は『鋳型内の模型と溶湯を置換しながら鋳物を製造する鋳造方法』と定義することが出来ます。
すなわち、鋳型内を消失性模型で満たした状態で、この模型と溶湯を置き換えながら鋳造し、鋳物を作る方法です。鋳型内が、模型により満たされていることから、フルモールド鋳造法(Full mold casting)と呼ばれています。この呼び名は、木型法が空間の中に溶湯を注ぐ空洞鋳造法(Cavity mold )であるのに対して付けられたものです。図にフルモールド鋳造法と木型法の差を示します。

フルモールド鋳造法と木型法それぞれの利点

フルモールド鋳造法 木型法
木型が必要ないので単品もしくは数の少ない物の納期が早く・コストが安い。試作品・単品鋳物・美術鋳物に向いている。 木型が繰り返して使えるため量産品に向いている。木型を作らなければならない問題がある。
製品と同じ模型を作ること、および発泡ポリスチレンの加工性が良いため、3次元ソリッドデータ及びCAD/CAMを簡単に利用できる。 木型は鋳物と逆の部分を作るために、また加工性が発泡ポリスチレンより悪いために3次元ソリッドデータ及びCAD/CAMを簡単に利用できない。
発泡ポリスチレンの燃え残り滓である、残渣が鋳物に残らないようにする鋳造技術が必要となる。このため、技術力のある鋳造メーカーでないとできない。 鋳型内が空間であるため、特別な鋳造技術を必要としない利点がある。このため、多くの鋳物メーカーで作ることが出来る。
木型の保管が必要ない。ソリッドデータを保管するだけでよい。 木型の保管およびメンテナンスが必要であり、木型管理費が必要である。
模型の段階で、設計上の問題点を確認することが出来る。また、模型の修正も簡単に行える。 木型法では、出来上がった鋳物を見て検査するしかない。また、木型の修正も簡単には行えない。
中子を必要としないため、造型時間が短く、複雑な鋳物が簡単にできる利点がある。また、設計上の制約も少なく、高度な技能も必要としない。 中子を必要とするため、設計上の制約が多く、複雑な鋳物を製作するには高度な技能を必要とする。中子作成の手間が掛かる。
抜き勾配が不要であり、設計上の制約も少ないことから、鋳物の軽量化が可能である。 木型法では、木型を抜くための抜き勾配が必要であり、設計上の制約も多い。
模型に複合材をセットするだけなので、複合材の製作等が容易に行える。 空間に複合材があるようにしなければ成らず、中子作業が複雑になることから、複合材の製作には不向きである。

フルモールド鋳造法の歴史

名称の由来

フルモールド鋳造法は、消失模型鋳造法・ロストフォーム・EPCプロセス・FMCプロセスなど種々の呼び名で呼ばれます。
フルモールド鋳造法は、鋳型の中が空間である木型法のキャビティーモールドに対応した言葉です。

歴史

アメリカのシュロイヤー(H.F.Shroyer)によって出願されたフルモールド鋳造法の基本特許は、1958年に成立しています。1964年にはディーター(H.B.Dieter)とスミス(T.R.Smith)がドライサンド法による発明を、1967年にはドイツのヴィットモーザー(A.Wittmoser)とホフマン(Hoffmann)がマグネット法による発明をおこなっています。
フルモールド鋳造法の基本特許はドイツの断熱材製造会社であったGruenzweig & Hartmann社(略称G+H社)が実施権を1961年に取得し、同社の副社長に就任したアーヘン工科大学のヴィットモーザーがこの技術の工業化と世界への普及に尽力することになります。ヴィットモーザーはフルモールド鋳造法の育ての親と言うことになります。
日本では、三菱油化バーディッシュがヴィットモーザーの運営するフルモールドインターナショナルから特許の再実施権を 1965年頃取得し、三菱重工が技術開発を行うことになります。フルモールド鋳造法のファミリーは多いときには120社にものぼりました。当社も、 1966年11月にファミリーに参加しています。

当時のフルモールド鋳造法は、品質が悪くメリットが最大限に活かせるのは自動車用のプレス金型でしかありませんでした。 1993年11月フルモールド普及活動の中心となっていたヴィットモーザーが急逝したため、ライセンスグループ活動は終止符を打ち、各社独自で展開されることとなります。フルモールド鋳造法は、発泡ポリスチレンを製造する化学メーカーが、発泡ポリスチレンの商品拡大を目指す目的で行われることがわかります。ヴィットモーザーの唱えるトップ方案がよいか、当社社長の木村が唱えるボトム方案がよいか、世界を巻き込んだ議論が行われました。基本特許が消滅した1980年以降、それまでプレス金型のような大物鋳物が主体であったフルモールド鋳造法を、異形管や自動車部品等の小物に展開する流れがでてきます。

1980年にはジェネラルモーターがアルミ合金のシリンダーヘッドに、1982年にはフォードが、また1984年にはフィアットが小物量産品へのフルモールド技術の展開をおこなっています。これらの技術は、ノーバインダーの砂を用いて振動造型機で造型する手法が主体となります。この技術は、ロストフォームと言う呼び名が最も一般的です。日本でもほぼ同時期に、小物量産品へのフルモールド鋳造法の展開が行われており、第2次のフルモールドブームが起こることになります。
大物鋳物においては、フルモールド鋳造法の欠点である残渣(発泡ポリスチレンの燃え滓)の問題から、プレス金型以外への展開はなかなか進みませんでした。しかしながら、木型を必要としないフルモールド鋳造法は単品鋳物には最も適した鋳造法であることは間違いありません。当社は1974年から工作機械・産業機械へのフルモールド技術の展開を図ってきました。この技術を当社では、ニューフルモールド鋳造法(略してニューフル)と称しています。このニューフルの技術は木村特有の技術であったため、また単品物に限定したものであったため、ブームを引き起こすまでには至りませんでした。

1987年フルモールド模型をCAD/CAMを使って製作する方法が当社に導入されることになります。この技術により、量産鋳物への道が開かれることになります。フルモールド鋳造法による工作機械の量産品へのチャレンジが、木村鋳造所で行われることになります。この技術は、工作機械の複合鋳物そして産業機械へと進展していくことになります。
1987年に導入したフルモールド模型製作のためのCAD/CAMシステムは、その後の模型の作り方を根本的に変えることになります。従来は2次元の図面から空間を想像し、バンドソーなどを使って部品を作成し、これを組み立てて、模型を作成していました。コンピュータの発展と共に、手作りによる模型作りはCAD/CAMによる模型作りに変化していくことになります。当社においては、2002年に手作りゼロを達成することになります。この模型作りの大変革が、フルモールドの量産鋳物への道を開くことになります。

ヴィットモーザー教授が考案した革新的フルモールド鋳造法
左よりルームヘルド社長夫人・当社社長の木村・菅野・木村夫人・ヴィットモーザー教授
(1993年10月マインツ市郊外のホテルにて)
プレス金型鋳物の製法を一変させたフルモールド鋳造法
フルモールド鋳造法によるプレス金型
複雑な形状のディーゼルエンジンブロックを高精度で製造できるフルモールド鋳造法
ロストフォームによる量産品
図面を3Dデータに変換するのがフルモールド鋳造法の第一歩

フルモールド鋳造法の技術を生かした景観用鋳物

鋳物で記念日オブジェを作成

90周年記念オブジェ(群馬工場)
-鶴舞う形の群馬県-

寸法:1748x1333x2080
重量:2060kg

90周年記念の鋳物オブジェ

90周年記念オブジェ(本社工場)
-無限大の可能性-

寸法:740x700x1500
重量:716kg

木村鋳造所のキャラクター鋳物

90周年記念オブジェ(御前崎工場)
-チューゾーくん-

寸法:2493x2088x3394
重量:5680kg

精密な鋳物オブジェ

90周年記念オブジェ(先端プロセス技術センター)
- Orizuru -

寸法:340x210x100
重量:8kg

彫刻家御宿至の鋳物作成

トポス(場)-再生-
(パークハビオ新宿イーストサイドタワー)

寸法:3380x2300x1520
重量:7750kg

国立沼津高専での2007年ユニバーサル技能五輪国際大会記念オブジェ

第39回技能五輪国際大会2007
記念オブジェ(沼津駅北口)
-一歩-

寸法:900x500x1800
重量:1200kg

御前崎市10周年記念オブジェ

御前崎市役所・市制10周年
記念オブジェ

寸法:1300x1300x1800
重量:2380kg

2007年に国立科学博物館で開催せれたMONODZUKURI EXHIBITION ものづくり展に出展した鋳物オブジェ

日本ものづくり展2007
出展記念(国立科学博物館)
-知恵フクロウ-

寸法:1700x1700x2000
重量:6700kg

ものづくり奨励賞の鋳物オブジェ

龍の首(一般財団法人「素形材センター」主催
第1回ものづくりコンテスト奨励賞受賞・本社工場)

寸法:350x800x900
重量:800kg

5S奨励賞の鋳物オブジェ

おそうじ小僧(本社工場)

寸法:400x350x900
重量:600kg

世界遺産 鋳物オブジェ

韮山反射炉・鉄製
24ポンドカノン砲(古文書から再現)

寸法:3500x500x500
重量:3500kg

精密で複雑な鋳物オブジェ

花かご
(フルモールド鋳造法の可能性を再現)

寸法:250x200x180
重量:4kg