KIMURAの仕事JOB

工程を現場の様子を交えご紹介

フルモールド鋳造法(FMC法)

KIMURAのFMC法とは

鋳造とは、高熱で溶かした金属を鋳型に流し込み、多用な形の金属製品(=鋳物)を作ることです。一般的な鋳造では、木で鋳物の型を作る木型法が採用されています。フルモールド鋳造法(=Full Mold Casting 以下FMC法)では、木型の代わりに発泡スチロールで模型を作り、それを基にして鋳物を造ります。KIMURAのFMC法は、木型法よりも複雑で精度の高い鋳物を、短期間で製造できるのが特長。ここではKIMURAのFMC法の主な作業工程を、順を追って説明します。

KIMURAがFMC法を導入したのは1966年。半世紀にわたり培ってきたノウハウに最新のIT技術を融合させたKIMURAのFMC法は、世界中で高く評価されているんだ。

NACEの有資格者は造船業に多くて、鋳造業ではほとんどいないんだ。鋳物の精度はもちろん、塗装でも高品質な製品を提供できるところもKIMURAの強みになっているよ。

工程1 データ作成

まず、お客さまからいただいた2次元の図面から、CADを使って3Dデータを作成します。この3Dデータは、造りたい鋳物そのものの形にプラスして、溶かした鉄を流し込むための道も組み合わせたものになります。また、1個の発泡スチロールから削り出せる模型の大きさや形状には制限があるため、大型で複雑な形状の鋳物を造る場合は、複数の発泡スチロールに分割したデータを作成する必要があります。次に、その3Dデータを基にCAMで、NCデータや組立て依頼書を作成します。NCデータとは、発泡スチロール模型を削り出す工作機械を動かすためのプログラムのこと。NCデータには、使用する工具や動かし方といった情報が含まれています。

溶かした鉄を流し込む道は、効率良く流れるように組み合わせないと、鋳物の品質が落ちてしまう。KIMURAの鋳物が高品質なのは、長年のノウハウを生かした道の通し方にも秘密が隠されているんだ。


工程2 模型製作

発泡スチロール模型の製作は、FMC法の中でも特に大切な工程です。精密な模型を製作することが、精度の高い鋳物を造ることにつながります。発泡スチロールを削る機械は、NC加工機といいます。NCデータを入力したNC加工機は、0.1mm単位の精度で発泡スチロールを削り出していきます。削り出された発泡スチロールは、鋳物の大きさや形状に応じて分割されているため、組立て依頼書に従って組み立てます。なお、発泡スチロールを組み合わせるときに、鋳物の品質に影響しないように開発された、専用の接着剤が使用されます。模型が完成すると、自動測定機と三次元測定機を使って、図面や3Dデータと同じ寸法になっているか検査します。

NC加工機は24時間稼働していて、発泡スチロール模型は木型に比べるとはるかに短時間で製作できるんだ。KIMURAのFMC法が短期間で鋳物を造れるのは、模型製作工程の役割が大きいんだよ。


工程3 塗型の塗布~造型(砂込め)

検査をクリアした後、模型に塗型を塗布します。塗型は、鋳型に鉄を流し込んだ後で、鋳物を取り出しやすくするためのもの。KIMURAのFMC法では、模型から発生するガスや燃えかすを抑える、自社開発の塗型を採用しています。塗型が乾燥したら、模型を「金枠」と呼ばれる箱に入れます。続いて模型を入れた金枠の中に砂を詰める「造型(砂込め)」という作業が終わると、砂型(=鋳型)の完成です。


工程4 注湯

鉄には、炭素の含有量など成分によってさまざまな種類があります。お客さまのご要望に応じた材質の鉄を作るために成分が異なる鉄を電気炉に入れ、溶かして混ぜ合わせます。指定された材質の鉄ができると、溶けた鉄を電気炉からクレーンで吊り下げられた「取鍋(とりべ)」と呼ばれる容器に移し替えて、鋳型に流し込みます。

鋳造業などの鉄関連業界では、溶けた鉄のことを「湯(ゆ)」と言うんだ。だから鋳型に溶けた鉄を流し込む作業は「注湯(ちゅうとう)」。鋳型の中の溶けた鉄が流れる道のことは「湯道(ゆみち)」。他にも「湯」が付いた業界用語は色々あるんだよ。


工程5 解枠~塗装

鋳型を十分に冷却したら、砂から鋳物を取り出し、細部の砂や湯道を取り除いて仕上げます。仕上げが完了した鋳物は、改めて三次元測定機などによってお客さまの注文通りに出来ているか確認。さらに超音波探傷試験や磁粉探傷試験、浸透探傷試験といった各種非破壊検査も実施します。加えてKIMURAでは、完成した鋳物の機械加工や塗装まで行っており、お客さまがすぐにお使いいただける状態に仕上げて納品することが可能です。

以上がKIMURAのFMC法の主な作業工程です。従来のFMC法は模型製作を全て手作業で行っており、完成した模型は1回使用したら消失してしまうため、量産には不向きでした。しかしKIMURAのFMC法は、IT技術の活用と機械化を推進することで、量産化だけでなく短納期化も実現しました。また、3Dデータ作成から塗装まで全ての工程を、一貫して自社内で行えるワンストップサービス体制もKIMURAならでは。さらに全製品を徹底的に検査・確認することで、高精度・高品質を維持しています。今後も新しい技術を取り入れていくことで、KIMURAのFMC法は進化を続けていきます。